100日後に死ぬワニがつまらない漫画でなければならない理由

Twitterで大きな注目と人気を集めている4コマ漫画、「100日後に死ぬワニ」

この衝撃的なタイトルとあらすじの作品に対し、漫画を執筆、更新している作者のきくちゆうきさんのTwitterコメント欄では沢山の種類の声が寄せられ(いい意味で)炎上状態になっています。

一方で「100日後に死ぬワニ」を「面白くない」「何が面白いの?」「つまらない」と批判する声も見られます。でも、私はこの作品は面白くないものでなければ成立しないと考えている立場なんですね。

今回の記事では、今色々なメディアに取り上げられ話題となっている「100日後に死ぬワニ」について思うことをつらつら書いていきたいと思います。

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100日後に死ぬワニがつまらない理由

100日後に死ぬワニがこれだけの人気を集めている最大の要員は、なんと言っても「ワニが100日後に死ぬことが事実として確定していること」でしょう。

この設定がなければ、20代前半(人間年齢なら)ぐらいの若者が過ごす何気ない日常が、他の登場キャラクターたちとのやり取りとともにほのぼのと描かれるだけの漫画。「日常もの」の漫画の1つに過ぎないのですが、

1つの設定が追加され、「ああ・・・このワニ、残り◯日後でこの世からいなくなってしまうんだなぁ」とメタ的な視点から彼の日常を覗き見することで、私たち読者は、登場キャラクターの何気ない一言や行動に対して敏感に反応してしまいます。

 

たまに、この漫画を「面白くない」「何が面白いの?」「つまらない」と評価する人がいますが、一般的に面白い漫画といわれそうな、ダイナミックでドラマティックなストーリー展開じゃダメなんですよ。

たとえば、「あなたがこの3ヶ月の間に経験した、印象深い体験を語ってください」と誰かに質問して、その答えを聞いたとしたら、その多くが漫画になるような壮大なストーリーではないはずです。

「大好きだった彼女に振られて落ち込んだ」
「あのときのアイツの一言でめちゃくちゃ笑った」
「隣町の初めて立ち寄ったラーメン屋が美味しかった」

そういう何気ない日常を、「このワニは最後に死ぬ」ことが分かった上でメタ視点から覗くことがキモなわけで、

これがジャングルでライバルワニと戦ったり、ある日突然魔法が使えるようになったり、宝探しのための大冒険に出かけたり・・・そうなってしまうとリアリティからどんどん乖離して漫画の趣旨が全く変わってきます。

 

たとえば、朝起きてテレビを見てお風呂に入って寝る・・・それだけのために消化した「今日」という時間の使い方をしたことに対して、ワニは死の間際にどう思うか?というところにダイナミズムやドラマを感じる作品なのであって、

あくまで私たちが読む100の物語は、私たちと同じような生活に根ざした、何気ない日常の中で展開されていなければならない。

伊集院光さんが大絶賛!「すごい発明だ」

また、タレントの伊集院光さんは、ご自身のラジオ番組である「伊集院光 深夜の馬鹿力」内で、この100日後に死ぬワニを「すごい発明だ」と絶賛していました。

「世の中のありとあらゆるコンテンツの最後に、「死まであとX日」って付けるだけで、意味が全然変わるから!」と熱く語っていました。

 

漫画の最終コマの下の余白には、毎回ワニが命を落とすまでの日数が「死まであと◯◯日」とカウントダウン形式で表示されます。

このカウントダウンタイマーが0になったとき、ワニや周りの登場人物、そして読者である私たちは何を思うか?おそるおそる、しっかりと、この作品の結末を見届けたいと思います。

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100日後に死ぬワニの中でとくに印象的な回

私が「100日後に死ぬワニ」を読んでいて、とくに印象的だった回をいくつかピックアップしてみます。

■1日目

テレビを見て大笑いしながら1日をやり過ごすワニ。

「あのときテレビを見ている時間を使って、他にできることがあっただろうか?」とワニは最期に後悔するのでしょうか?

私自身振り返ってみると「あの時間、ムダに過ごしちゃったかなぁ、、」と考えてしまう時間が、今までの人生の中で沢山あったような・・・。

■17日目

「もしもの時の為に」と沢山の食べ物を備蓄することを考えるワニ。けれども結局、目の前のごちそうの魅力に負けてワニはこれを全て食べてしまいます。

ワニは死に際に、「あのとき全部食べておいてよかった」と考えるのか?あるいは震災などの非常事態で生き埋め状態になるのがワニの死因になるとしたら、「あのとき残しておけば生き延びられたのに・・・」と考えるのか?

今後の展開によって解釈は変わってきそうですが、個人的にとても考えさせられた回です。

■39日目

駅員の無愛想な態度に、機嫌を悪くするワニ。

この出来事の何日か前にワニは(一方的な思い込みで)失恋をしています。

精神的に余裕がないときって、誰かの些細な言動や行動がいちいち癪に障ったりするものです。当然私自身もそういう経験があります。

「もしも自分が何日か先に死ぬことが分かっていたら、もう少し周りの人々に優しく接してあげられるだろうか?」

これもまた、何気ない日常の1コマを描いた秀逸な回ですね。

100日後に死ぬワニが死なない展開はありえるか?

100日後に死ぬワニの作者であるきくちゆうきさんは、オリコンニュースサイト上のインタビューでこのように語っておられます。

Q.毎日反響を得ている「100日後に死ぬワニ」ですが、このお話を描こうと思ったのはなぜでしょうか?

A.「いつか死ぬ」生きているということはいつか死ぬということ。自分の「終わり」や周りの人の「終わり」それを意識すると、行動や生き方がより良い方向にいくのではないか。ワニを通してそれらを考えるきっかけにでもなればいいなと思っています。

 

このインタビューから考察するに、100日後に死ぬワニが死なないのは、きくちゆうきさんが語られるように、ワニの生き様をとおして私たちの人生について深く考えることがこの漫画の命題だとしたらあり得ないでしょう。

リアリティを追求するのなら、100日後にワニは必ず死にます。

 

反対に、あくまでノンフィクションの漫画としてなら、何かのどんでん返しがあったりして、101日目以降のワニの日常が描かれるのもアリだとは思います。その場合でも、読者である私たちが読んできた100の物語を通じて得られるものはあると思いますしね。

「ワニが100日後に死んでしまうのが辛い」「クラウドファンディングでお金集めてなんとかワニを救いたい」なんて声もTwitterユーザーの間では多く見られますし、その気持ちは分かります。

ただし、作者の思いを優先して考えるならば、私たちがいつか必ず死んでしまうように、ワニが100日後に死を迎えてこそこの漫画の意義があると思います。

100日後に死ぬワニについての感想まとめ

 

「100日後に死ぬワニ」は1日1話形式で物語が追加されていきます。

しかし、忘れてはならないのが「この漫画が更新されるごとに、私たちの命も確実に現在進行系ですり減っている」ということ。

その日がいつくるのか?が明示されていないだけで、私たちの日常の下でもカウントダウンタイマーは回っています。ワニがどんな最期を迎えるのか?は最終回まで読まなければ分かりませんが、それは私たちも全く同じです。

何百万年も続く人類の歴史の中で、決して揺るがないもの。それが「今まで死ななかった人間は1人もいない」ということ。

そのことにあらためて気づかせてもらい、自分の人生について深く考えるきっかけを与えてくれた「100日後に死ぬワニ」には感謝です。日々を大切に生きていかなければならないと強く思いました。

 

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