映画こんバナ(夜バナ?)のネタバレ感想。キャストから結末まで

映画「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」を観てきたので、その感想やレビューなどを書いていきたいと思います。

いつもどおり思った感想を書き綴っていく記事なので、結果的にネタバレになるような記述があると思います。ネタバレNGな方はここでページを閉じて頂けますと幸いです。

鹿野さんがどういう人物だったのか?ボランティアの人たちは、なぜわがまま放題な鹿野さんを放っておけず、いつまでも彼を支え続けていたのか?

人間の泥臭さと素敵さを身体中に浴びるような、素敵な実話映画だったように思います。

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こんな夜更けにバナナかよの鹿野靖明という人物

私は基本的に「お涙頂戴系」の映画が好きではありません。とくに障害者や難病と戦う人たちの”陽”の部分だけを切り取って編集して「ホラホラ、ここ泣くとこだよ!泣けオラ!」とやられるのがすごく苦手です。

ましてや今回の「こんバナ(よるバナ?)」の制作に携わったのは、障害者や難病を24時間テレビでお馴染みの日テレ・・・。正直イヤな予感しかしませんでした。

そんな一抹の不安を抱えながら、こんバナ鑑賞に臨んだのですが、、結果、ボロ泣きしてしまいましたw

 

私は24時間テレビの演出でよく観られるような、「難病持ちや障害者は可哀想な人」と同情を印象づけるような表現が嫌いですし、反対に「難病持ちや障害者はハンデではなく個性だ!彼らは不自由ではない」と妙なポジティブに振り切った表現も嫌いです。

どっちの場合も「当事者でもないのにアナタに何が分かるの?」と思ってしまいます。(私自身も健常者ですし言えた立場ではありませんが。)

難病患者や障害者は健常者に比べて身体的に不自由です。それは紛れもない事実。

 

「こんな夜更けにバナナかよ」の主人公である鹿野さんが素晴らしいのは、そんな不自由だという事実を清々しいくらいに受け入れているところです。

開き直って「俺は不自由で一人じゃ生きていけっこないんだから、よろしく頼むよ!」と周りの人たちに堂々と宣言し徹底的に頼ることができるところに、ボランティアの人たちとの本物のフェアネスを見出すことができます。

”鹿野さんはボランティアの人たちに身の回りの世話をしてもらう。鹿野ボラの人たちは、鹿野さんへのボランティアを通じて人生について学ぶことがある”

そのことを本人が宣言し、周りの人たちも自然とそれを受け入れている事態が、上も下もない、まさに対等な関係を築いていたんですね。

 

鹿野靖明さんという方は、とても不思議な方です。

筋ジストロフィーという重い難病を抱えていて、「俺は不自由だ」という事実を認めそれを公言しているにも関わらず、車椅子に乗ったその姿をスクリーンに映し出しているにも関わらず、

ふと思い出して目をつぶると、想像の中の鹿野さんはいつも元気に走り回っているのです。

 

イチ映画鑑賞者がこんなふうに思うのですから、実際に鹿野さんと関わりを持ったことのある人たちは、私以上にそういう印象を鹿野さんに対して抱いたのではないかと思います。

プロモーションでの解説でも語られているとおり、身体は紛れもなく不自由。けれども心は誰よりも自由なのが、鹿野靖明という人物だったんですね。自由過ぎて、わがまま放題で言いたい放題なのがタマにきずですが笑、

 

エッチなビデオを観て、腹が立つことがあれば物に当たって、そして人を好きにもなる・・・。

そういう誰よりも「人間らしく心が自由」だったのが、鹿野靖明さんという人だったのだと。

こんな夜更けにバナナかよはキャストも素晴らしかった

そんな鹿野靖明さんを演じたのが大泉洋さん。私は昔から大泉洋さんのファンで、今回のこんバナを観ようと思ったのも彼が主演だったからというのが大きなきっかけだったのですが、本当に役にハマっていました。

もう映画を観ている間、大泉洋さんが大泉洋さんに見えなかったです。鹿野さんにしか見えなかった。笑 この大泉さんの演じる鹿野さんはお見事というしかありません。

 

また、鹿野さんの世話をするボランティアスタッフを演じる、高畑充希さん三浦春馬さんという配役も素晴らしいです。

こんな夜更けにバナナかよって、障害者と介護の話に留まらず、高畑充希さん演じる美咲や、三浦春馬さん演じる田中、そして鹿野さんを巻き込んだ三角関係の恋愛ドラマ的な要素も盛り込まれています。

もともと恋人同士だった美咲と田中。そして美咲に恋心を寄せる鹿野さんと、鹿野さんに次第に惹かれていく美咲・・・。この恋愛模様がまた観る人をハラハラさせるのです。

 

美咲も田中も、それぞれ人生についての悩みや葛藤を抱えていたり、ぶつかり合ったり、そして鹿野さんを通じて人生の生き方を見出して人として成長したり、、泥臭いまでの人間模様を魅せてくれます。

鹿野ボラの若者代表である主演2人ですが、この2人を高畑充希さんと三浦春馬さんが演じてくれて本当に良かったと思います。

 

そして、夜更けにバナナかよの物語は、家族愛までも包括しています。鹿野さんの母親役の綾戸智恵さんの演技がまた素晴らしいんです。

母親として鹿野さんと最後まで向き合う姿は、たぶん音声なしでセリフが分からなくても私はボロ泣きしていたと思います。

また、鹿野さんの父親役の竜雷太さんも「家族を静かに温かく見守る父親像」が深くあらわれていて、その佇まいだけでも涙を誘うものがありました。

う〜ん・・・家族愛って「ズルい」です笑

 

他にも、高村大助さん前木貴子さん塚田心平さん萩原聖人さん・・・。

登場人物全員のキャラクターがブレず、感情移入でき、その役どころのハマり具合は今年観た映画の中で一番だったのでは?と思わされるほどでした。

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こんな夜更けにバナナかよのラスト。あの結末はあっさりし過ぎか?

それぞれの登場人物が、それぞれ向き合うべき人生の大きな課題を乗り越え、鹿野さん自身も何度も倒れては復活し、そうしながら鹿野さんとボランティアの人たちとの絆はどんどんと深まっていきます。

そして、物語がロケ地である北海道にて、最もキレイな場面の最高潮に達した直後、7年後のテロップと共に場面は切り替わります。7年後、鹿野さんはこの世にはいませんでした。

難病や障害者をテーマに扱った映像作品によく観られる、患者の最期についての描写はありません。ある意味、あっさりとした印象です。

 

もちろん実際には、映画の中では描かれていない7年の間に色々な出来事があったのでしょうし、せっかくならそこを丁寧に描写して欲しかった気持ちも無くはないですが、

けれども、「映像作品として」私はあのラストで良かったと思います。

 

おそらく遺族の方も、「元気いっぱいで誰よりも自由」な鹿野さんを観ることで、鑑賞者が人生においての大切なことを見出すきっかけになることを望まれているでしょうし、

私個人としてもあのあっさりしたラストだったからこそ、「元気な鹿野さん」が胸に刻まれたまま、映画館を後にすることができたのだと思います。

 

ちなみに、映画のエンドロール後にも語られていますが、鹿野さんを支えていたボランティアの方々は、映画が公開された2018年現在まで、定期的に鹿野さんのご実家を訪ねては交流をしているそうです。

こういうところからも、鹿野さんが如何に皆んなからいつまでも愛され続けているかを垣間見ることができますね。

こんな夜更けにバナナかよの感想まとめ

「日テレかあ・・・」という一抹の不安を見事に打ち破ってくれた、2018年最後の傑作映画、「こんな夜更けにバナナかよ」。

久しぶりに1800円では安い!というくらい笑えて泣けて、そして自らの人生について深く考えさせられる映画に出会うことができた気がします。

鹿野さんのように、おしゃべりでわがままで、誰よりも自由な人に会いに、劇場にまで足を運ぶ価値は十二分にあると思いますよ♪

私も、公開中にもう一回くらいは観ておこうと思います。。。

 

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