針供養の意味と由来と正しいやり方。いつの時期にやる行事なの?

あなたは、針供養(はりくよう)と呼ばれる日をご存知でしたか?耳慣れない言葉に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、深い目的を持った大切な日なんです。

今回の記事では針供養の意味や、歴史と由来。そしてやり方についても解説していきます。

またいつの時期にやる行事なのか?などについても併せて説明することができたらと思います。

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針供養の由来や意味とその歴史とは

針供養の日とは、折れたり曲がったりまたは錆びついてしまって使うことができなくなった縫い針を供養して、近くに納める行事のことをいいます。

今まで私たちのために一生懸命に働いてくれて役目を終えた縫い針に敬意を表し、感謝の気持ちと共に供養することが目的の由緒正しい風習なんですね。

 

日本にはもともと「八百万(やおよろず)の神」という考え方があるように、どんなものにも魂が宿ると信じられています。

一人前の板前さんほど毎日包丁を大切に研ぐように、一人前の職人さんほど自分の工具を毎日丁寧に磨くように、「デキル」人であればあるほど物を大切にする習慣がありますよね?

この「世の中の全てのものに魂が宿るから大切に扱おう」という道具に対する感謝とねぎらいの心が、ひいては日本独自の繊細で精密なものづくりを支える基盤となってくれているのかもしれません。

 

そして、針もまた仕事道具の1つ。針がなければ衣類を作ることができません。極端な話ではなく私たちが今、服を着て生活できているのも針のおかげだといえるでしょう。

とくに着物を縫うことが仕事である場合の多かった女性にとって大切な仕事道具の1つとして使われてきたのです。

そういう事情も手伝ってか、女性にとっての針供養というのはとりわけ重要な意味を持っています。針供養をすると色白の美人になれる柔らかい気持ちになれるなど様々な効能を享受できると言われているんですね。

 

針供養の由来については諸説ありますが、少なくとも平安時代には針供養の風習が日本にはあったようです。その証拠に、当時の清和天皇によって針供養の堂が法輪寺に建立されたとされていう記録が残っています。

また、一説によると針供養のそもそもの起源を辿ると、平安時代に中国から伝えられたとも言われていますね。

平安時代といえば、今から1000年よりも昔のことです。針供養とはそれだけの非常に長い歴史を持った、伝統ある行事なのです。

 

とは言うものの、針供養の風習が本格的に日本全土に広まったのは江戸時代中期以降であるとされています。それまでは針を置いてある家庭自体が少なく、一部の人のための風習だったようです。

室町時代以降は針が大量生産されるようになりましたし、各家庭にも普及始めた頃でしょうから、そうなったらあとは時間の問題。

物を大切にする日本の性質上、江戸時代には針供養が全国的に認知、実践されるようになったのは必然と言えそうですね。

針供養はいつ頃の時期にやる行事なの?

針供養は、いつの時期にやることが正しいのでしょう?

実は針供養を行う日というのは、地方によって異なります。一般的な時期は関東を含み2月8日になります。しかし関西地方や九州地方の場合は12月8日に針供養を行います。

また、2月8日と12月8日の両日に行うところもあります。

 

なぜこの日なのか?というと、2月8日と12月8日は事八日(ことようか)と呼ばれる日で、事を始める日と事を納める日としてそれぞれ扱われてきたためなのです。

事始めと事納めの両日は、つつしみをもって過ごす日、、つまり仕事を休む日とされていましたので、仕事を休んでいる日のうちに針供養をしようという風習になったのです。

 

また、なぜ地方ごとに針供養の日が異なるか?というと、これが少しややこしいのですが・・・、

関東では12月8日を事始め(ことはじめ)、2月8日を(ことおさめ)と呼びます。

そして関西では2月8日を事始め、12月8日を事納めとしているのです。

要するに事始めと事納めのタイミングがそれぞれ違うから、針供養の日が異なるということなんですね。

針供養の正しいやり方と作法

針供養は可能であれば神社で行なって頂くことが本来です(針供養を行なってくださる神社については以下に記述しておきます)。

ですが、時間が取れなかったり近所に神社がないという場合は、自宅で行なって頂くので問題ありません。

針供養の作法はただ1つ、「感謝とねぎらいの気持ちを持って行うこと」です。それさえしっかりとしていれば、自宅であっても由緒正しい針供養を行なっていると言えるでしょう。

そのことをお伝えさせて頂いた上で、正しい針供養のやり方についてご説明していきます。

 

・・・と言っても、やること自体は非常に簡単です。

1.豆腐やこんにゃくを白いお皿の上に用意します。

2.針をに感謝の気持ちを込めながら豆腐やこんにゃくの上に刺します。

3.供養が終わったら、白紙に包んで処分します。

以上です。

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供養が終わった針の処分については、各自治体のゴミ出しのルールに従ってください。多くの場合は不燃ゴミとして処分することになると思います。

なぜ、豆腐やこんにゃくを使うか?というと、針は仕事道具として扱われている間は硬いものばかりを刺し、くたびれながらも頑張って働いてくれていたわけです。

そんな針に対し、最後には柔らかいものを刺して、そして安らかに休んで頂くというねぎらいの気持ちの表れとして、柔らかな豆腐やこんにゃくを使うということなんですね。

 

しかし、こんにゃくも豆腐も食べ物です。食べ物を無駄にしたくないという気持ちから、スポンジを利用される方もいらっしゃいますが、スポンジでもOKです。

 

最後に、針供養を行なってくださる神社を下記に箇条書きにしておきますので、よろしければご参考にされてみてください。

<東日本>
東京:浅草寺・淡島堂 (台東区浅草) 2月8日
東京:森巌寺・淡島堂 (世田谷区代沢) 2月8日
東京:富岡八幡宮・粟島神社 (江東区富岡) 2月8日
東京:正受院 (東京都新宿区新宿) 2月8日
神奈川:荏柄天神社 (鎌倉市二階堂) 2月8日

<西日本>
和歌山:淡嶋神社 (和歌山市加太) 2月8日
大阪:太平寺 (大阪市天王寺区) 2月8日
大阪:大阪天満宮 (大阪市北区) 2月8日
京都:法輪寺 (京都府京都市西京区) 2月8日、12月8日
京都:幡枝八幡宮 針神社 (京都府京都市左京区) 12月8日

 

針供養の意味とやり方などについてまとめ

針供養の歴史や由来、目的を紐解いていくと、

すべての物には魂が宿るという信仰と、だからこそ物を最後まで大切に使い、役目を終えた物には感謝といたわりの気持ちを捧げてしっかりと成仏させてあげたいという、日本人の繊細な優しさと感性を垣間見ることができますね。

「勿体無い」という素敵な言葉を生み出した国、日本。これからも日本人として、最期まで大切に愛する気持ちを忘れずに、物と接していきたいですね♪

 

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