実写映画版の「ビブリア古書堂の事件手帖」を観てきましたので、さっそく、おもしろかったか?つまらなかったか?を含め感想レビューを書いていきます。
思った感想を書き綴っていく記事なので、結果的にネタバレになるような記述もあると思いますので、ネタバレNGな方はここでページを閉じて頂けますと幸いです。
とりあえず稲垣役の成田凌が良かったです!
ビブリア古書堂の事件手帖の映画の感想、評価
まず最初に言っておくと、私は「ビブリア古書堂の事件手帖」という作品に関して完全ににわかです。今まで原作を読んだこともなければ剛力彩芽さん主演だったドラマも観たこともありません。
最近完結したらしい原作との違いなどが分からないので、もしこの記事を読んで原作ではこうじゃなかったなどの設定やあらすじ的な違いがあれば教えて頂けると嬉しいです。
ですので、あくまでこの記事では「ビブリア古書堂の事件手帖」の映画を観てどう思ったか?の感想や評価だけを書かせて頂くにとどめさせてください。
・・・と、前置きが長くなっちゃいましたが、
ビブリア古書堂の事件手帖の映画を観て思ったのが、「映像が綺麗」、「キャスト陣がバッチリいい感じ」、「ストーリーの前半は良い」、「後半はツッコミどころ満載」というところです。
順番に書いていきますね。
ビブリア古書堂の事件手帖の映画で面白かった、良かったところ
映像が綺麗
私は「舟を編む」のような昭和のノスタルジックな雰囲気が全面に押し出された映画が大好きです。
自分自身が昭和という時代を生きていないということもありますし、なんか、おばあちゃん家のたたみの匂いがするような感じの映像が好きなのです。
その点、このビブリア古書堂の事件手帖は、おばあちゃんの過去に隠された秘密に迫る!というテーマなのでド昭和な風景や映像、台詞回しがたくさん出てきますし、とても癒されるような描写が多いです。
文豪と呼ばれる方々のエピソードや作品からの引用にも積極的で、夏目漱石の「月が綺麗ですね=I love you」という有名なメタファーも使われていました。月がスクリーン一杯にドーンと映される映像は息を飲むほど美しかった。
ビブリア古書堂の事件手帖の監督は三島有紀子さんですが、女性らしい柔らかで瑞々しい感性と視点から紡がれる映像は、素晴らしいと思いました。
キャスト陣がバッチリいい感じ
ビブリア古書堂の事件手帖の主演陣も「この人にこそこの役!」というハマり感があり、違和感なく良い感じに鑑賞することができました。
篠川栞子役の黒木華さんの演技は、素朴で引っ込み思案な、本を持ったときに冴え渡る推理力など、栞子さんのキャラクターを演じるなら黒木華しかいない!というくらいハマっていた印象です。(私は原作を読んでいないので、原作を読んでからだとまた印象が変わるのかもしれませんが)
五浦大輔役の野村周平くんも、今時の就活生くらいの年頃の素朴な若者という雰囲気がしっかり出ていて良かったと思います。活字恐怖症って設定も良かったし、「マジか」連発な若者らしい語彙の少なさも相まって、キャラにハマっていた気がします。
大輔のおばあちゃんである絹子さんの若い頃を演じた夏帆さんも、健気さと儚さがバランスよく調和した人間味あふれるキャラクターを演じる上で、この人が絹子さん役で良かったと思えるくらいの名演を魅せてくれました。
絹子さんの秘密の恋のお相手である田中嘉雄役の東出昌大さんも、キャラにフィットしていた印象です。嘉雄(よしお)って太宰治に憧れているだけあって、服装も髪型も書斎も太宰治を意識してるんですよね。そういう太宰っぽさがふんだんに取り込まれていた印象です。
稲垣役の成田凌がめちゃくちゃ良かった
そして何と言っても、このビブリア古書堂の事件手帖の犯人役である成田凌さんの演技がめちゃくちゃ良かったです。
ブスと野獣やコードブルーでも、この俳優さんいいなぁーと注目していましたが、個人的には今回のビブリア古書堂の事件手帖の稲垣がベストアクトだったとさえ思います。
前半のミステリアスな雰囲気から、後半のぶっ壊れ描写も変態感溢れる感じで笑、ハラハラしながら観ることができました。迫真の演技ですね。これはすごい!
ビブリア古書堂の事件手帖の映画でつまらなかった、ひどいと思ったところ
ただねー・・・、この映画、特に後半がツッコミどころ満載なんですよね。
これが結構、私の中で致命的で、「うそやん!」「そんなわけないやろ!」が頭の中で飛び交っていました。(原作ではそうでもないのかな?原作を知っている人、教えてください)。
そんなツッコミどころを羅列していこうと思います。
稲垣の最初の行動に意味あったの?問題
この物語では、わりと早いうちに「絶対コイツが犯人」な稲垣なる人物が登場します。
その人物が主人公たちに近づく際に、巧妙な演出を利用します。早い話しが「いい人アピール」です。
稲垣自身、古本の販売をしていたのですが、ある本が盗難に遭ってしまったというのです。栞子さん曰く、窓が多く煙突がある、本が日焼けしやすい家に住む人物が窃盗犯だということ。
それをヒントに早々に犯人の自宅を突き止めるのですが、犯人は目が悪く、もう少しで盲目になり本が読めなくなってしまうということです。
そのことを知った栞子さんと稲垣は、犯人を許してあげるのでした。これによって稲垣は「いい人」ということで栞子さんたちと親しくなろうと画策するのです。(実は窃盗犯と稲垣はグルで、目が悪いというのも嘘だったことが後ほど判明します)
栞子さんたちと親しくなるためのこの画策いるか?
だって、最終的に稲垣は栞子さんの所有する「晩年を俺に渡せ!」と凶行に出るわけですよ。最後は思いっきり力技で奪いにくるわけですよ。
ってか、本を愛する人がそんな日焼けして傷みやすいような環境に本を置くかね?窃盗犯の「盗みたくなるほど本を愛する」心象を理解できるなら、そこにも「ん?」と気が向きそうですけどね・・・。
それさえできたら、稲垣を捕まえるまでにも一瞬で漕ぎ着けた気がします。実際コナンくんだったらやってると思います。
いつまでも警察に行かない問題
栞子さんのパソコンには連日、犯人からの「晩年を私に渡せ」という脅迫のメールが届くようになります。そしてそれを拒み続ける栞子さん。
やがて、栞子さんたちが働くビブリア古書堂に空き巣が入り、看板に火まで付けられてしまいます。放火未遂です。犯人らしき人物を見つけ追いかける大輔。しかし犯人を捕まえることは結局できず、取り逃してしまいます。
古書堂に置いておくのはリスキーだとして、大輔は栞子さんから「晩年(のニセモノ)」を預かり自宅に保管することにします。
しかし、大輔が自宅に戻るも、犯人からスタンガンを当てられて気絶してしまいます。大輔が気を失っている間に晩年は持ち去られてしまい・・・って、いつになったら警察いくんだよ!!
脅迫メールが届いた時点で警察に行きましょうよ。脅迫、空き巣、放火、暴行・・・最初のメールがしつこく届くようになった時点で私だったら警察行く。最悪でも空き巣が入った時点で行くわ!
稲垣が犯人なのに全然気づかない問題
栞子さんと「晩年」の安否を心配する大輔。「この本は俺が預かっておきます」と大輔は晩年(のニセモノ)を持ち帰ります。たぶん自分が自宅で保管しておいた方が安全だからと。
そしてそのことを知っているのは、そこに居合わせた栞子さんと大輔と稲垣の3人だけです。
大輔が自宅に帰り次第、犯人と思われる人物にスタンガンを当てられます。目を覚ました大輔は、晩年が奪い去られていることを知り愕然とします。
どう考えても犯人稲垣だよ!!なんで気づかないんだよ!!そこが最大のミステリーだよ!!栞子さんの推理力設定どうなったんだよ!!
ただひたすら人気のないところまで逃げちゃう問題
凶行を決意した稲垣から逃げるべく、ビブリア古書堂を飛び出し車を走らせ逃げる大輔と栞子さん。
人がたくさん行き交う商店街を抜け、漁師さんが一生懸命働く漁村を抜け、最後には火サスのラストシーンに出てきそうな人気のない海辺まで逃げていきます。そして、ついに稲垣に追いつかれてしまいます。
いよいよ車を降りた2人は追い詰められていくハメに・・・って、なんでだよ!!逃げてる途中に人いっぱいいたじゃん!店に逃げ込むなり漁師さんに助けてもらうなりできたじゃん!ってか、
車に乗った時点で警察向かおうぜ。相手は脅迫、空き巣、放火、暴行未遂の犯人なんだから。そしてなんでノープランで車降りちゃったの?あの世界って警察いないの??
進んで人気のない海に行っちゃう時点でメリットゼロですよどう考えても。
300万円の価値がある本を海に放り投げちゃう問題
激昂した稲垣が、大輔の首をギューっと締めるシーン。それを見兼ねた栞子さんが、「もうやめて!」と小説「晩年」を取り出します。
稲垣を狂人たらしめた300万円の価値は下らないという一冊です。「それ以上大輔を苦しめたらこれを海に放り投げる!それがイヤなら「晩年」と引き換えに大輔を解放しろ!」的な交渉があるのかと思いきや、、、
「私、ここで全てを終わりにします」とか言いながら海に「晩年」をドボンさせます。NO交渉です。もうやめてはこっちのセリフだよ!!
結果的に海にドボンされた「晩年」を見て稲垣が打ちひしがれ意気消沈してくれたから良いものの、稲垣はそもそも晩年欲しさにあのような凶行に出たわけです。
あんなことしたら、場合によっては大輔も栞子さんもタダじゃ済まないですよ・・・。汗
事件後のエピソードがあっさりし過ぎ問題
晩年が海にドボンされた後のエピソードは、大輔のモノローグで語られただけです。
稲垣が、なぜあれほどまでに「晩年」に拘ったのか?狂人と化してしまい狂った行動を取ってしまったのか?という核心に触れるところがモノローグです。
大輔と稲垣の共通のおじいちゃんが、実は同一人物だったという衝撃の事実が明かされるところがモノローグです・・・。
なんでだよ!!そこ大事だから掘り下げよう?もっとそこちゃんと撮ろう!!?
まとめ
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まあ、こんなふうにストーリー上はなかなかツッコミどころ満載というか、特に後半は目も当てられない感じではありましたが、
それでもキャストの配役と映像の美しさ、映画全体にわたるノスタルジックな雰囲気はなかなかのものでした。
ただ、、それをおいてもストーリーがやっぱり致命的かなあ。。。
個人的に良かったというか、興味を強く持ったのが、過去の文豪たちの小説ですね。夏目漱石とか太宰治とか、あまり読んだことがなかったので、これからさっそく読んでみようと思いました。
そういう副産物的なメリットは十分に享受することができたように思います。おしまい。
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