「昔は花粉症なんてなかった」
そんな話しをあなたも聞いたことがあるのではないでしょうか?
今となっては現代病とも国民病とも呼ばれ、5人に1人はかかると言われている花粉症ですが、花粉症の歴史はいつから始まったのでしょうか?そして、なぜ花粉症の人がこんなにも増えたのでしょうか?
今回の記事では、花粉症に昔の人がならなかった理由や花粉症の人が増えた理由などについて書いていきたいと思います。
花粉症のメカニズムや原因を知ることで、あなたの予防や対策にお役立て頂ければ幸いです。
花粉症に昔の人はならなかった
例えば江戸時代の教科書に「◯代目将軍の徳川◯◯は花粉症で〜」などと書かれているのを見たことがありません。
それどころか、昭和初期が誕生日のおばあちゃんなどは花粉症でない場合が多いですよね?
冒頭でもお話ししたとおり、国民病と呼ばれ、5人に1人かかると言われている花粉症が、昔の日本にはなかったのです。花粉症どころか、「スギ花粉」という単語さえ一昔前には認知されていなかったんですね。
スギという植物自体は、弥生時代から日本人には馴染みのあるもので、水田の矢板などに用いられていました。また、加工しやすく香り豊かなスギは重宝されやすく室町時代には本格的な植林まで始まったと言われています。
けれどもこの頃のスギは、現代のように花粉を撒き散らし猛威を振るうような存在ではありませんでした。前述したとおり、昔の人たちはスギを伐採したり加工したりと、決してスギを放置することがなかったためです。
花粉症はいつから始まったの?
花粉症という言葉が認知されるようになったのは、1964年。東京オリンピックの年ですね。
今までは植林と伐採、加工が交互に行われ、丁寧に管理されていた大量のスギ林がこの頃から放置されるようになったのです。
当時の日本は、ちょうど木材貿易の自由化が進んでいる時期。それまで時給で国内の木材を活用していたのが、海外の安い木材を進んで使うようになりました。9割あった木材の自給率が、7割を輸入に頼るほどです。
そうなると、スギは伐採される機会も植林される機会も減ってきます。日本の経済発展に合わせて、皮肉なことにスギ花粉も、大量に増殖、発散されるようになったんですね。
また、1950年頃は戦後復興期の真っ只中です。戦時中には軍需目的で大量伐採されていたスギが、戦後に改めて植えられるようになりました。これは、木が切り倒された山々が洪水の原因になってしまうので、それを防止する目的があったためです。
そして、先ほど書いた木材貿易の自由化に伴うスギの放置。スギが花粉を飛ばしまくるのは樹齢30年頃と言われていますから、本格的に花粉症が流行するとしたら1980年前後ということになります。
・・・見事に計算が合ってますね。。。1979年には「社会問題」にもなるくらいの規模で、花粉症が流行するようになりました。これが東京オリンピックから15年後の出来事です。
というわけで、花粉症という言葉が認知されるようになったのが1964年。花粉症が社会問題化したのが1979年になります。
花粉症になる人はなぜ増えた?その原因や理由とは
また、昔よりも今のほうが花粉症になる人が多い原因として、暮らしの変化が挙げられます。
たとえば食生活。
戦時中までの日本の食事といえば、魚や野菜が中心のものでした。肉や牛乳をガツガツ食べるような食生活ではなかったはずですよね?
それが、戦後には食生活の欧米化が進みます。先に挙げた肉とか牛乳、ビールや激辛系の料理やこってり系の料理。それから砂糖のたっぷり入ったアイスクリーム・・・
これらは全て、花粉症を引き起こしたり悪化させる原因になる食べ物として知られています。
おじいちゃんやおばあちゃんなど”昭和の人”は、肉やこってり系の料理よりも、魚や野菜を好んで食べます。だから平成以降の現代人よりも花粉症に対して抗体があると言うことが出来ますね。
そして、現代社会はストレス社会です。体調を崩してしまうほどのストレスを抱える人や十分な睡眠を取れていない人がたくさんいるのが現代の日本です。
スマホやパソコンの画面を長時間眺めることも、心はともかく身体にとっては強いストレスの原因となります。
ストレスは身体の免疫力を低下させます。そして、免疫力が低下した身体にこそ花粉は喜んで足を踏み入れるのです。
現代人が花粉症を改善したり対策したりするためには、食生活や生活習慣などを「昔の人」に少し寄せてみることを心がけるのが良さそうですね。
花粉症が悪化する食べ物や生活習慣などについては、以前に記事に書きました。よろしかったらそちらもご参考にされてみてください。
まとめ
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昔と比べて、遥かに便利で豊かになった日本。
そのこと自体は言うまでもなくとても素晴らしいことなのですが、海外との木材の貿易事情や食の欧米化、生活習慣の変化が花粉症の症状に悩まされる人を増やしてしまったことも事実です。
今から生活の全てを戦前以前に戻すことなんて出来ないと思いますが、けれども花粉症の改善のために出来るところから少しずつ見直していくことも必要なのかも知れません。
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